固体表面と分子の間に働く相互作用やこれらの間の電荷・エネルギーの移動を調べる ことは、表面物性や化学反応の素過程の解明といった基礎科学的観点に加え、分子 デバイスや不均一触媒の新規材料開発といった応用的観点からも重要である。Kim研究 室では、走査トンネル顕微鏡を用いて固体表面に吸着した単一分子や分子膜の構造および 電子状態を、サブナノメートルの高い空間分解能で調べている。これらナノ領域の表面系 の原子構造や電子状態を理論的に調べる上では、量子力学の枠内で電子や原子核の微視的 な振る舞いを解析することが肝要となる。本講演では、密度汎関数理論に基づく第一原理 計算を用いて、表面吸着分子系の構造特性や電子特性を調べた結果を発表する。また、分子の光学特性や磁性、表面での電 子・原子ダイナミクスの解明に向けた研究の展望について発表する。